尊厳死宣言書の必要性
ではこの書面がなかった場合は、どのようなことが起こりうるでしょうか。ご本人が尊厳死を望んでいたとしても、何の準備もしていなければ、実際脳死状態や昏睡状態に陥ったとき希望を叶えるのは難しいといわざるをえません。ご本人は意思表示ができず、家族もご本人の意思を知っていたとしても本当に延命措置をやめてしまって良いのか迷うはずです。たとえ家族がご本人の意思を医師に伝えたとしても、医師が法的責任を問われることを恐れて消極的になることも考えられます。現在日本では尊厳死についての法律は存在しませんが、実際この尊厳死宣言書を医療機関に提示したとき9割以上の医療関係者が、ご本人の希望を受け入れているため(日本尊厳死協会調べ)実現の可能性は高いといえます。なお、遺言書と同様、ご本人の意思を明確にして後日のトラブルを防止するためにも、なるべく「公正証書」で作成することが望ましいです。